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映画「くちびるに歌を」の中で「きょうだい児の気持ち」について感じたこと


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映画「くちびるに歌を」を観ました。2015年の邦画です。

中学校の合唱部と先生を中心とした物語。

青春映画だね、と思いながら鑑賞していたのですが、ある部分に引っかかってしまいました。 合唱部の部員が「15年後の自分に手紙を書く」という部分です。部員である桑原サトルも自分に宛てて手紙を書きます。 彼には障害を持った兄アキオがいます。障害児のきょうだいは、「きょうだい児」と呼ばれることがあります。サトルが自分の存在を考えるとき、自分が「きょうだい児」であることが根幹にるのです。彼はこんな手紙を書きました。

(映画「くちびるに歌を」より)

拝啓 15年後の自分へ
15年後の僕は兄のそばにいますか。
いや絶対いるでしょうね。
僕は兄に人一倍感謝しています。
だって、兄が自閉症じゃなかったら僕は生まれてこなかったのですから。
僕は、分かっています
将来兄だけが取りのこされたとき、1人だけでは生きていけないから両親は決意したんだと思います。自分たちが死んだ後に兄の世話をしてくれる弟か妹を作ろうと。
そして僕がこの世に生まれたのです。


もし兄が普通の子だったら、僕はこの世にいなかったでしょう。
僕は、将来に対する不安がありません
自分の存在している理由がはっきりしているから。
だけど、たまにほんのたまに兄がいなければ、そう思うことがあります。
兄を疎ましく思うことがあります。でもきっと僕はこれからもずっと兄のそばに寄り添うでしょう。

それが僕の生まれてきた意味なのですから。 

 両親の死後、兄の面倒を見るために自分が生まれた。そうでなかったら、自分は生まれてくることができなかったのだから、と兄に感謝します。 こんな風に考える15歳が実際に存在するのだろうか? 映画の中でこの手紙は「感動を呼ぶ」場面として挿入されているのでしょう。サトルは性格の良い可愛い男の子のように描かれていましたが、私の心はざわつきました。胸に重い何かを押し付けられて苦しい感じ。サトル、それでいいの? 本当に、本当にそう思っているの? 思いこまないと自分が進めないということなのかな、とも思いました。 

劇中、サトルが合唱部の練習で帰宅時間が遅くなる場面があります。サトルは、兄のお迎え担当。 兄はルーティーンで動きます。「いつも同じ」が大事。サトルが遅れた日、兄アキオは行方が分からなくなりました。(後で、発見される)

サトルがお迎えに遅れることは許されません。 合唱部の練習のために「帰りを遅くしてよいか」と母に尋ねます。しかし、「だれがアキオのお迎えをするの?」とよい答えをもらえません。 母は最終的に、「これまで何もねだったことのないサトルの初めての願い事」だから、と受け入れます。

 

15歳まで、何かをねだることもなかったというサトル。「障害」が見つかると周囲の意識は、「障害を持つきょうだい」に向かいがちです。 「きょうだい児」は、聞き分けの良い「良い子」になりすぎたり、逆に反発したりすることがあるといいます。 障害の程度や困り具合が深いほど、「きょうだい」にふりかかる負担は大きくなるのかもしれません。 サトルに気持ちを寄せる時、彼には我慢ばかりしないでほしい。でも、サトルの本人からすれば、「そんなのはきれいごと、自分には現実がある」ということなのでしょうか。 それでも、それでも、どうしてでしょう、どうか我慢ばかりしないでほしい!と思ってしまいます。 

 

私にとっては、サトルのこと、アキオのことは、決してよその家庭の話ではありません。 療育や学校の事、習い事や将来のこと、やはり心配事は凹凸をもった子どもの方に偏る傾向があります。「いつも〇〇(弟)ばかり!」は、我が家でもよく出ます。 子どもたちだけになった時、きょうだいの一人だけに負担がかかるようなことにはなってほしくないと切に思います。 それぞれが、自分の決めた道を納得して歩んでいてほしいと思います。 精神的にも経済的ににも自立して幸せを感じながら生活してほしいと思います。 この時代、それが簡単ではないのがつらいところです。 それでも、だからこそ道を探る日々が続いています。みなさん、そうやって生きているのではないかと思います。

この映画をみて、「きょうだい児」のいない世界に住んでいるかたは、どう感じたのだろうか? 「きょうだい児」を知っている人、「きょうだい児」の親、自身が「きょうだい児」の人は、どう感じられたのでしょうか。

映画の中で、(また、原作の中で)サトルにこのような手紙を書かせた意味は何だったのだろうか。 もやもやしながら、考えています。

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