大好きな絵本作家の中の一人が、林明子さんです。
作品の中で、私は特に「こんとあき」「まほうのえのぐ」(福音館書店)が好きです。
林さんの原画展が行われるということで、楽しみにして出かけました。
「絵本を読みつづけてみる」(平凡社ライブラリー)という本の中で、五味太郎さんが林明子さんの絵について、絵の中に「嫌い」はひとつもえがかれていない、「大好き」があるというようなことを述べておられました。場面の中のものをはしょらないで(たとえば、うえのチラシの駅のプラットホームで言うと、向こう側のプラットホームの詳細まで)すべて収めている、でも、そのなかで作者が「大好きだよ」と思って描いているものは、間違いなく見る人に伝わる。そんな絵のとても上手な人なんだそうです。
会場に入ろうとしたらまさかの行列。入るまでに時間がかかりました。
写真を撮るコーナーも設置されていました。
少しずつ進む行列に並び、順に作品鑑賞です。原画が時系列に展示されていました。
私個人としては、絵本になっている原画よりも、その前のスクラッチの状態のものを観られたことにワクワクしました。絵本を見ると、とてもやさしい繊細なタッチの絵ですが、アイデアを練っているときの絵はもっと力強いタッチだったのが印象的でした。
作品が出来上がる前のものを見ることができてよかったです。
それから、林明子さんは絵だけじゃなくて洋裁・手芸もとても上手な方だというのがわかりました。 絵本の中にぬいぐるみや人形が出てくる場合、林さんはそれを手作りし、つくった作品をモデルに絵を描かれています。 「こんとあき」のこん(きつねのぬいぐるみ)も林さんがつくられたぬいぐるみがあり、展示されていました。
先ほど五味太郎さんのコメントを記憶をたどって書きましたが、五味太郎さんと林明子さんには接点がありました。 同じ会社の社員だったそうです。(林さんが1年先輩)すごい方たちには、接点がある、なるほどね……。そういうものなのですね。
そして、この原画展に行って知ったこと。林明子さんが絵を描くことになるきっかけを与えた人。 それは、お父さんでした。
原画展 略年譜より抜粋
1955年 (10歳)
絵を描くのが好きな様子を見ていた父の配慮で、洋画家・飯島一次(立軌会会員)の絵画教室に通い始める。クレヨン、水彩、油彩で描くことを学び、楽しむ。
そういうことなんですね。
やっぱり、親の影響というのは後々まで及んでくるんですね。(ため息)
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